時宗について

一遍を宗祖とする時宗は、浄土真宗と同じく、法然の浄土宗に源を発する浄土信仰を説く教団である。
鎌倉時代後期から室町時代に盛んで、現在は寺院数約400、信者数約30万人を擁している。
総本山は神奈川県藤沢市の清浄光寺(俗に遊行寺という)であり、他にかつて大本山であった、相模原の無量光寺、京都の金蓮寺正法寺などがある。
一遍は1239年四国で水軍の将だった河野通信の孫に生まれた。
10歳で出家し、13歳のとき、九州の浄土宗西山派の門に入って浄土教を学び13年の修行の後、故郷に戻った。
33歳で再び求道の旅に立ち、3年後熊野本宮で他力念仏の奥義を悟った。それは「衆生が浄土に往生することは、すでに阿弥陀仏が法蔵菩薩と名乗っていた昔に誓った本願によって決まったことで今始まったことでない。だから善悪を問わず、浄不浄を選ばず、更に信不信を論ぜず、名号を称えれば必ず往生することができる。故に縁ある者には念仏札をくばるように」という啓示があった。
これ以後一遍は51歳で世を去るまで、一度も寺に留まらず、北はみちのくの江刺から南は九州の大隈まで、ほぼ全国に渡って遊行賦算を行った。
「遊行賦算」とは、各地を念仏札を配って、念仏勧進にめぐる歩くこと。この念仏札を手にすれば、誰でも阿弥陀仏の計らいで極楽浄土に往生できるという。
また一遍は、民衆教化に「おどり念仏」を取り入れた。これは愚かな凡夫がありのままで救われるという喜びを踊りに表現したもので、民衆の間に爆発的に広まった。現在各地で行われている盆踊りは、この踊り念仏がそのものだといわれている。
時宗の教えは阿弥陀仏の本願によって成就された、南阿弥陀仏の名号を称え、自らの心の計らいを捨て、南阿弥陀仏になりきるとき、現世において浄土往生が約束されると教えている。
これによって、阿弥陀仏はじめ諸仏に守られて、平穏で充実した生涯を送ることができるというわけである。

宗祖一遍善行寺へ参詣 二河白道の本尊を描く

宗祖一遍善行寺へ参詣二河白道の本尊を描く
文永8年(1271年)の春、一遍は信濃の善行寺へ参詣した。
この如来は、もとは印度の聖像であったが、海を渡って日本の本尊となられた。
本願成就して、極楽から衆生を来る迎える来迎仏の形を示して、お姿をこの国に現わされ、縁ある人々の帰依によって、新たに霊場を信州の方にお定めになった。
一光三尊のお姿は、如来のはかり知れぬ御心を表し、ここへ参詣したものは必ず浄土に往生できるといわれる、優れた地であることは、他の神社仏閣の及ぶところではない。
誠に三国伝来の仏で不思議な経験は述べるに言葉も無く、世の濁りに苦しむ人々を救うという本願については、思いはかることもできない。
一遍は「今、前世からの因縁が深かったので、思いがけなく、お目にかかることができた」と云って、参籠の日を重ねて帰った。
このとき、唐の善導大師巳証の法門を絵に現わして、二河白道の本尊を画かれた。

二河白道図について

唐の善導大使が「観経疏」(観無量寿経の註釈)に示された教説で、念仏の行者である旅人(往生人)は道を急ぐ。その行手、北岸は水の河(貪りと欲の心)と、南岸は火の河(瞋と憎しみの心)があって渡れない。
後から盗賊や悪獣(往生をさまたげる悪縁)が襲いかかる。
旅人は進退きわまる、そのとき。
西方の彼岸(極楽浄土)と東方の此岸(娑婆世界)の中間に、細い一筋の白い道が通じている。
この白道を旅人が、彼岸の阿弥陀仏の「一筋にその道を渡って来い」の励ましをうけ、また此岸の釈迦如来の「ためらわずその道を行け」の励ましをうけて彼の岸につくことができたという譬喩。
一遍は善行寺に参籠して二河白道の図を写し、故郷伊予に持ち帰り、窪寺の庵室に掲げ本尊とし、この二河の中間の白道こそが名号であると悟り、その信仰体系を確立した。
時宗では、白道を名号(往生)とみる。

当山の寺名について

宗祖一遍いっぺん上人は、信濃の善光寺に、文永8年(1271年)の春と弘安2年(1279年)8月の二度参詣しています。

宗祖一遍いっぺん上人が文永8年に善光寺に参詣した時、二河百道図にがびゃくどうず(極楽往生を願う信心をたとえて描かれた図のこと。)を描き、この二河の白道こそが名号「南無阿弥陀仏」であり、往生であると悟り、その信仰体系を確立したと伝えられています。そのご縁をもって、各地に善光寺如来の分身をまつり信仰され、当山も「新善光寺」と名付けられたものと思われます。

(信濃の善光寺の御本尊の一光三尊阿弥陀如来様は、インドから朝鮮半島百済くだら国へとお渡りになり、欽明きんめい天皇13年、仏教伝来の折りに百済から日本へ伝えられた日本最古の仏像といわれます。一光三尊のお姿は、如来のはかり知れぬ御心を表し、ここに参詣した人々は必ず極楽浄土に往生できるといわれます。)

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